インクルーシブ組織実践NAVI

多様なメンバーのキャリア目標を引き出し、チーム目標と結びつける実践ガイド:公平な成長機会を創出するリーダーのアプローチ

Tags: キャリア支援, 目標設定, 1on1, チームマネジメント, インクルージョン, 公平性

なぜ多様なメンバーのキャリア目標把握と整合が重要なのか

チームを率いるリーダーにとって、メンバーの成長を支援することは重要な役割の一つです。特に多様なバックグラウンドや価値観を持つメンバーが増える現代において、一人ひとりのキャリアに対する考え方や目標は一様ではありません。リーダーがメンバーそれぞれのキャリア目標を深く理解し、それをチームや組織全体の目標達成に結びつけていくことは、以下の点で不可欠となります。

一方で、リーダー自身の無意識バイアスが、特定の属性(例: 性別、年齢、働き方など)のメンバーのキャリア志向を見過ごしたり、過小評価したりする可能性も存在します。これを回避し、すべてのメンバーに対して公平な成長機会を創出するためには、意図的かつ具体的なアプローチが求められます。

多様なメンバーのキャリア目標を引き出すための対話術

メンバーのキャリア目標を効果的に引き出すためには、形式的な面談にとどまらない、質の高い対話が不可欠です。以下にその実践的なステップとポイントを示します。

ステップ1: 対話のための信頼関係構築と雰囲気作り

ステップ2: 効果的な質問でキャリア志向を深掘りする

一方的に質問攻めにするのではなく、メンバー自身の言葉で語ってもらうことを促します。以下に質問の例を挙げますが、これらの質問はあくまで対話を始めるための糸口です。

ステップ3: 無意識バイアスに気づき、公平性を保つ

メンバーの話を聞く際に、リーダー自身の持つ「〇〇さんはこのタイプの仕事が得意だろう」「この役割は男性(または女性)向きだ」「子育て中のメンバーは残業できないだろうから重要なプロジェクトは任せにくい」といった固定観念や無意識バイアスが影響していないかを意識します。

個別目標とチーム目標を効果的に結びつけるアプローチ

メンバーのキャリア志向を把握した後は、それをチーム・組織の目標達成にいかに繋げるかを具体的に検討します。

ステップ1: チーム・組織の目標と必要な能力を明確に共有する

ステップ2: 個別目標とチーム目標の接点を見つける

ステップ3: 具体的な行動計画と機会を設定する

ステップ4: 定期的なフォローアップと軌道修正

まとめ

多様なメンバー一人ひとりのキャリア目標を丁寧に引き出し、チーム・組織の目標達成と結びつけていくプロセスは、一朝一夕に完成するものではありません。リーダーが自身の無意識バイアスに注意を払いながら、メンバーとの継続的な対話を通じて信頼関係を築き、公平な視点で成長機会を提供し続けることが不可欠です。

この実践を通じて、メンバーは「自分はチームにとって必要な存在であり、成長が期待されている」と感じるようになり、自律的に貢献しようとする意識が高まります。それは結果として、エンゲージメントの向上、チームパフォーマンスの最大化、そしてすべての人材が公平に活躍できるインクルーシブな組織文化の醸成に繋がるでしょう。リーダーがこれらのステップを実践することで、多様性を真の強みとするチームを築くことが可能となります。